唐突に沖土のホモ不倫ネタに荒ぶって一部分だけ走り書き。パラレルでインモラル
どさりとベッドに倒される。やわらかい感触のシーツの上で、背中が跳ね返されるくらいの勢いだった。大きな口をあけた総悟がかぶりついてきて、自動車教習所の人口呼吸の訓練を思い出す。唇をすっかり覆って送り込む息が漏れ出さないように。される側はこんな感じなのかもしれない。
(食われる、)
原始からの時を経て己の中にささやかに残った動物の本能で感じる恐怖。呼吸を求め、めちゃくちゃに力を込めて腕をつかんで押し返す。年下だから力加減するなんて考えが入る余地はなかった。相手は沖田総悟なのだ。
「無駄でさァ」
許してやんねーから、早く腹括って覚悟決めて下せェ。
暗闇の中でギラリと赤く光る瞳は獰猛なオスが興奮している様をあからさまに伝えてくる。さながら狙いを定められた草食動物の俺はここで貪り尽くされるしかない運命のようだった。肩に電流が走り、遅れて震えの自覚がくる。総悟を止めることはできない。
分かっていたから、いない間に結婚したのに。
そういう、こちらの努力を無駄にして、こちらの覚悟を踏み躙って、馬鹿じゃねえのと嘲笑うようなところが腹の底から嫌いだった。
嘲笑うくせに泣いてるような顔をするから、手放せない自分に苛立ちが止まらなくて、このままでは駄目だと無理矢理に手を振り払って他の女の手と繋いでしまったのに。
「俺のこと、好きって言え」
強請った言葉に意味なんてないと、分かっている奴にかける声なんかない。
言わないのが俺の矜持で、俺のできるたったひとつの証明だった。
[2015.09.25 総悟が大学で地方にいってる間に結婚した土方さん]